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掌の官能小説
第25章 夏の日の想い
「せんせっ、ゴイチの飼い主が…見つかったそうで…」
涙ぐみながらルミは言った。

「そうか…良かった。この辺りはよく放置されてしまう猟犬は多いけど。飼い主が見つかってよかったよ。」

「そうよね。良かったのよね。でもね。ゴイチ、やっと三本脚で歩けるようになって…雷の夜は抱いて寝てたし…この頃は名前を呼ぶと嬉しそうに尻尾を振ってくれるようになったのよ。…せんせっ、ゴイチ…居なくなってしまうの。でもゴイチは飼い主さんがいいのよね。ゴイチには良かったのよね。」

子供のようにルミは泣いていた。
俺は、子供をあやす様にルミを宥めた。


ゴイチを引き渡す日、飼い主はたくさんの手土産を持ち、たくさんのお礼を言いゴイチを抱き締めていた。
ゴイチも嬉しそうに尻尾を振っていた。
ルミはずっと笑顔で、「ゴイチ良かったわね。」と繰り返していた。

ゴイチが行ってしまった後、ルミは別荘にこもってしまった。

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