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掌の官能小説
第29章 マイ
マイと会わなくなって3ヶ月が経ち、やっとマイとセックスをしない事に慣れてきた。
同棲中の彼女は最近「結婚」という言葉を頻繁に口にするようになっていた。

そんな時、公園に仕事でまた出掛けた時に、何組かの園児の散歩風景を見ていた。
マイ…
マイに似た保母さんの事を思い出し、見つめていた。

「あ、いた!」
あの柔らかい笑顔…見たことないからやっぱり別人か。
僕は近くに行き確かめてみようと思った。

ただの通りすがりの業者を装いながら園児に近づいた。
園児に近づくというより、保母に近づいたのだが。

チラチラと何度も見ながら近付いた。
保母は園児に集中しているので僕には気付かない。

3メートルほど近づいた時、マイだと確信できた。
片方の頬にエクボが出て、声はまさにマイだ。

僕の心臓は大きく鳴り響いている。

「マイ…」

僕は立ち止まると、保母の視線が園児から僕に移り立ち止まった。
僕を見るマイの目に涙が浮かんだように思えた。
するとマイは軽く会釈して、
「そろそろ園に帰る時間だから、行きますよ。」
と、園児に言うと、もう一度僕に会釈をして歩き出した。
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