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第7章 踊り子

「じゃあ、また明日。」
私は酔いが回らないうちに店を出た。

そして駅前のビジネスホテルに向かう時、あの桜の木の前を通った。
また、彼女を思い出していた。

桜の木を見上げると私は、ホテルの近くのバーに向かっていた。


店に入るとお客は二組しかおらず、二組は連れと一緒だった。

私はカウンターに座り、ウイスキーをロックで頼んだ。

バーテンダーに
「駅前の桜、どれ位で満開になりますかね。」
と話しかけた。

「今日は暖かったし、明日も今日より気温が上がるようですから…三日くらいですかね。」

私は桜と彼女を思い出していた。

そして二杯のウイスキーを飲み、私は店を出た。

「そろそろ12時…部屋に帰るか…」
私は店を出て、ホテルに向かった。


桜の木の下を通ると、あの少女が立っていた。
私は少し驚きながらも

「こんばんは。もう仕事は終わったの？」
と尋ねた。
彼女は無言で頷いた。

「今からまた踊るの？」

彼女は首を横に振った。

「ん？どうしたの？」
彼女の近くには大きなバッグが置かれていた。

家出か…

私はあまり深く関わらないように
「おやすみ。」
と言い残しホテルに入ったのだった。


私は部屋に着くと駅前に桜の木を見た。
桜の木を見たというより、桜の木の下にいた彼女を探したのだった。
彼女はまだ作品の木を眺めて立っていた。

彼女に一人の男が近付き、彼女の腕を掴んでいた。
彼女は手を振り払い荷物を持ったが、その男は彼女が去ろうとしているのを阻んでいた。

私は、咄嗟に部屋を出てホテルを出た。

男は彼女に何やら言っていた。
私は思わず
「遅くなってすまなかった。さぁ…で？この男は？」
と彼女に言うと
「知らない人…」
と彼女は答えた。

「おっさん、なんだ？」

「君こそなんだ？私の娘に何か？」
と、毅然とした態度で尋ねると、男はサッと逃げて行った。

「こんな場所にこんな時間に一人で…なんだ？」
私は叱り気味に彼女に言った。

「友達のとこ追い出されて…お金もそんなに無くて…」
涙目で答え俯いた。