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第7章 踊り子

「何でこんな…ことに…」

私は出張ではいつもダブルベットの部屋をキープする。
広いベッドが好きだからで、他は何にも理由はない。

私はこの家出少女をホテルに連れていき
部屋を頼んだが、生憎部屋は空いていなかった。

仕方なく私は彼女を部屋に連れ、ソファに…と案内した。
彼女は嬉しそうに私に抱き付いた。

「ありがとう、おじさん！」

おじさん？
確かにおじさんだが…
おじさんなんて言われなんとなく嫌な…

「あ…沢田だ。」
私は苗字を言った。

「沢田さんね？ありがとう沢田さん。私は…リカ。リカちゃん人形と同じリカよ。」

「そうか…」

名前なんてどうでもいい。

「いくつ？」

「18歳。もうすぐ19歳よ。何故？」

「いや。ただ聞いただけ。」

18なら捕まらないだろう…
と言ってもこんな子供は趣味では無いし。

私は彼女を残しシャワーを浴びた。

毎晩誰かにこうして宿を提供しつ貰いながら歩いているんだろうか…

そんなことを考えながらバスローブに着替えた。

彼女はソファの上で指先をかざし何やらやっていた。

フラメンコの振りのレッスンか…

私は暫く彼女を眺めていた。

フラメンコの世界に入ると彼女は表情が変わっていた。
踊りこそ踊ってはいないが、頭の中では激しく踊っていたのかも知れない。

彼女は哀しげな表情になり、私は思わず彼女を抱き締めてあげたくなってしまいそうだった。

暫くすると顔は穏やかになり、すっきりした表情になった。
「フゥ〜」
深いため息を彼女はつき、私を見た。

「おじ…沢田さん、見ていたの？恥ずかしい。」
元の彼女に戻り八重歯を見せながら照れ笑いをしていた。

「いつからフラメンコをやってるの？」

「生まれた時からかな？母親がスペイン人で踊り子だったの。だから気付いた時にはもう踊っていたの。」

「そうか…あっ、風呂に入れよ。」

「え？いいの？ありがとう。」
彼女は大きなバッグから着替えを取り出しバスルームに向かった。