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掌の官能小説
第7章 踊り子
彼女は大きな荷物を置き、
「お礼にマッサージしてあげる。」

「え?あっ、いいよ。そういうつもりじゃないし。」

「いいから…いいから。私指先の使い方が上手いのよ。」

彼女は私をソファに座らせソファの後ろに立った。
そして、私の肩を撫でゆっくりと揉みだした。

「凝りをほぐすのは力じゃなくて、血の流れをよくしてあげたらいいのよ。」

彼女は優しく肩を撫でていた。

彼女の話しはマッサージの話しから、自分の身の上話から、フラメンコの事になり、また身の上話になっていた。

母親はスペイン人で父親は日本人
母親は5年前に亡くなり、父親は再婚し家に居にくくなり飛び出したらしい。

夢はスペインで踊り子になること。

私は眠くなり、シャワーを浴びる為に立ち上がった。
彼女は屈託のない笑顔で私を見つめた。

私はシャワーを浴び、戻ると、彼女は窓の外を見つめていた。
そして肩を震わせていた。

「どうした?」

「ん?どうもしません。すみません。シャワーを浴びさせて貰っていいですか?」

「あ…ああ。どうぞ。」

彼女がシャワーを浴びに行くと、私は氷をホテルのエレベーター前まで取りに行き、グラスに氷を入れ、ウィスキーを入れた。

ソファ前に置かれているコーヒーテーブルにカスタネットが置かれていた。

「ふたつ?」

私はカスタネットを鳴らしてみた。

どうしたらあんなリズムが出来るんだ?

カスタネットと言えば幼稚園の頃に、赤と青の左手に置いてタン、ウン、タン、ウン、タンタンタンとかやったのしか知らなかった。

彼女はシャワーを浴びて戻ってくると、私の横に座り、
カスタネットを私の手に付けてくれた。







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