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BLACK WOLF~調教~
第2章 深紅
━━━━っ!
黒埼さんとの約束…。
仕事以外で黒埼さん以外の男性とは喋ってはいけない、という約束。
「ち、違いますっ!今のは…っ」
「何が違うんだ?随分親しげだったが…?」
違う…。
白石君は元気のない私を心配してくれてただけ。
親しいなんて、そんな事はない。
「し、白石君はただの仕事仲間ですっ!」
「ほぅ。お前の事を下の名前で呼んでるような男がただの仕事仲間?」
…ダメだ。
何を言っても黒埼さんには通じない。
私と白石君の関係を完全に疑ってる。
目には怒りを滲ませて、口許はクスクスと笑っていて、その表情がとにかく怖かった。
一歩一歩私に近付く黒埼さん。
「━━━━やっ…」
思わず条件反射で逃げようとしてしまったが、その腕はあっさり黒埼さんに捕まってしまった。
「どこに逃げる気だ?」
「あ、あの…っ」
私の腕を掴む手の力だけでわかる。
黒埼さんはこれまでにないくらいに怒ってる。
「や、やめ…」
大声を出そうにもここは職場の裏口。
下手に騒いで誰かに聞かれでもしたらと思うと声が出なくなってしまう。
「どうやら、昨夜のお仕置きじゃ足りなかったみたいだな」
「あ…っ」
まるでブラックホールみたいに真っ黒な瞳。
その瞳には一筋の光りも見えない。
深く飲み込まれてしまいそうな漆黒の闇。
「だったら今夜は…、特別なお仕置きにしてやろうか…?」
「あ…」
声が…、体が…、全身がガタガタと震え出す。
逃げ切れない、漆黒の闇。
長らく見てなかった獲物を捕らえる狼のような目付き。
それはまるで、いたぶりながら獲物を仕留める狼の牙のような凶器━━━━━━━。