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料亭『満月』
第1章
「そうそう、三谷君も部長になったそうだね……」
「はい、それでうちの部も新体制ということで、今日は、新しく担当させていただく営業の者を連れて参りました。宮部さん、専務と名刺交換して……」
見るからに新入社員とわかる。
視線が泳ぎ、動作がぎごちない。
二十歳を過ぎたばかりだろう。
細面、髪は後ろに軽く結い、両方の耳の前に髪をひと房垂らしている。
仁科よりは明るめの紺色のリクルートスーツ。
背丈は頭ひとつ分、仁科よりも高いが、体の線は細い。
快活さ、よりは、おしとやかさが見て取れる。
友人との間ででも、大声で馬鹿笑いするタイプではないだろう。
私の前に一歩出ると
「こ、このたび、御社の担当になりました、宮部と申します。よ、よろしくお願いいたします」
声と、両手で持つ名刺が、震えていた。
「篠原です。よろしく」
「はい、それでうちの部も新体制ということで、今日は、新しく担当させていただく営業の者を連れて参りました。宮部さん、専務と名刺交換して……」
見るからに新入社員とわかる。
視線が泳ぎ、動作がぎごちない。
二十歳を過ぎたばかりだろう。
細面、髪は後ろに軽く結い、両方の耳の前に髪をひと房垂らしている。
仁科よりは明るめの紺色のリクルートスーツ。
背丈は頭ひとつ分、仁科よりも高いが、体の線は細い。
快活さ、よりは、おしとやかさが見て取れる。
友人との間ででも、大声で馬鹿笑いするタイプではないだろう。
私の前に一歩出ると
「こ、このたび、御社の担当になりました、宮部と申します。よ、よろしくお願いいたします」
声と、両手で持つ名刺が、震えていた。
「篠原です。よろしく」