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第2章 亜沙子の罪
「前田…課長?」

大きな目が俺を見つめる。
移動前に塗り直されたんであろうリップグロス。
形のいい唇が、薄く開いている。

自分から手を伸ばしたくせに、何も言えなくなって黙った俺は情けない。
それでも、手が離せない。
水本も、逃げようとせず、じっとしていた。


竹中の賑やかな歌声が部屋に響き、他の奴らも調子を合わせている。
俺と水本だけが、テーブルの下で手を繋ぎ…いや、俺が勝手ににぎっているだけだが、身動きをとらずにいた。


「……よ?」
「え?」

水本が何かしゃべるが、竹中のやかましい声にかき消される。
水本が少し腰を浮かせ、耳元で囁いた。


「わたし、酔ってませんよ?」

そう言って、俺の手を握り返してきた。





それから3曲。
俺たちは手を繋いだまま、それなりにやり過ごしていた。
時間は、23時になるところだ。


「前田課長」
水本が手を引っ張る。
「出ますか?」
「え?」
「出ましょう?」


水本が手をそっと離す。
曲が終わり、少し静かになったところを見計らって、「竹中くん」と呼んだ。

「わたし、そろそろ帰るね」
「おお、大丈夫?酔ってないよね?」
「ありがとう、大丈夫。前田課長も帰るって」

そう言われて、慌てて立ち上がる。

「竹中、これ」

財布から何枚か千円札を抜き出して渡す。

「わあ、前田課長、すみません。ありがとうございます」
「おう、じゃあまた月曜日に」

賑やかな声に見送られ、水本と部屋を出る。
ここのフロアはビルの7階だ。
エスカレーターを待つ間、水本から俺の手を握ってきた。

無言。

そしてエスカレーターが到着し、乗り込むと、抑え切れずに水本を抱きしめ、貪るようにキスをした。

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