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第3章 変わる景色

【祐介 side】
水本は誤解しているようだが、俺は単身赴任の身だ。
だから、朝帰りしようと、俺を叱る妻はいない。
妻の美加と2人の子どもは、前任の地にいる。
子どもたちの入園や進級のタイミングもあり、美加も慣れた地を離れるのを寂しそうにしていたために、とりあえず俺だけが転勤先のここにきた。
結婚して8年になる。
その間、浮気なんてしたことなかった。
夫婦仲は普通だと思う。
俺は仕事で忙しいし、美加はまだまだ手のかかる2人の子育てに追われている。
だから自然に、セックスの回数は減った。
けれど、それを不満だとは思っていなかったし、それは美加も同じだと思っている。
もう自分は、美加以外の女性を抱くことはないだろうと思っていた。
なのに。
水本があの指輪を触っていたとき、ハッキリと嫌だと思った。
抑えられなかった。情けないことに。
それにしても水本も見かけによらず大胆なんだな。
まさか、一緒に部屋を出るように言うとは思ってもいなかった。
もしかして、そういうことに慣れているんだろうか…。
小さく息を吐いて、スマホを見た。
昨晩の美加からのLINEにまだ返事をしていない。
事務的な用件に、子どもたちが並んでドーナツを食べている写真が添えてある。
返事をしようとしたけど、やめた。
代わりに電話をかける。
「もしもし、パパ〜!」
「さや、おはよう」
下の子の元気な声。
「幼稚園は楽しい?」
「うんたのしいよ、パパはおしごとたのしい?」
「うーん、どうかな、お仕事だからな」
「おしごとにはブランコないもんね」
「すべり台もないからね。さや、ママは?」
本当はこの週末、ゆっくりしようと思っていた。
「美加?今日なにもなければ、そっち行こうかと思うんだけど」
そうだ、このままじゃだめだ。
予感がしている。
このままだと、俺は水本に溺れてしまう。
水本は誤解しているようだが、俺は単身赴任の身だ。
だから、朝帰りしようと、俺を叱る妻はいない。
妻の美加と2人の子どもは、前任の地にいる。
子どもたちの入園や進級のタイミングもあり、美加も慣れた地を離れるのを寂しそうにしていたために、とりあえず俺だけが転勤先のここにきた。
結婚して8年になる。
その間、浮気なんてしたことなかった。
夫婦仲は普通だと思う。
俺は仕事で忙しいし、美加はまだまだ手のかかる2人の子育てに追われている。
だから自然に、セックスの回数は減った。
けれど、それを不満だとは思っていなかったし、それは美加も同じだと思っている。
もう自分は、美加以外の女性を抱くことはないだろうと思っていた。
なのに。
水本があの指輪を触っていたとき、ハッキリと嫌だと思った。
抑えられなかった。情けないことに。
それにしても水本も見かけによらず大胆なんだな。
まさか、一緒に部屋を出るように言うとは思ってもいなかった。
もしかして、そういうことに慣れているんだろうか…。
小さく息を吐いて、スマホを見た。
昨晩の美加からのLINEにまだ返事をしていない。
事務的な用件に、子どもたちが並んでドーナツを食べている写真が添えてある。
返事をしようとしたけど、やめた。
代わりに電話をかける。
「もしもし、パパ〜!」
「さや、おはよう」
下の子の元気な声。
「幼稚園は楽しい?」
「うんたのしいよ、パパはおしごとたのしい?」
「うーん、どうかな、お仕事だからな」
「おしごとにはブランコないもんね」
「すべり台もないからね。さや、ママは?」
本当はこの週末、ゆっくりしようと思っていた。
「美加?今日なにもなければ、そっち行こうかと思うんだけど」
そうだ、このままじゃだめだ。
予感がしている。
このままだと、俺は水本に溺れてしまう。

