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第11章 忘年会
「忘年会!」
「そう、忘年会。早いよね、もう今年もそんな時期なんだよー」

二課の先輩女子社員、安永さんから忘年会の日程を言い渡されたのは11月最後の出勤日だった。

「去年は一課と合同だったけど、今年は二課だけでこぢんまりとね」
「はい、いいと思います」
「まー、一課も同じ日らしいんだけど。タイミング合えば二次会から合流してもいいしねー」

忘年会。
あっという間に今年も年末だ。
慌ただしくなりそうな師走。
今日も月末締め日で忙しい。

「じゃ、亜沙ちゃん、予定あけといてね」と言いながら、安永さんは課の予定表に赤字で【忘年会】と書き込んだ。



忘年会は金曜日の夜で、あっという間にその日になった。
18時過ぎに仕事を切り上げ、お店へ移動する。
フロアを出ようとしたときに、外出先から戻ってきた前田課長と顔を合わせた。

「飲みすぎんなよー」と声をかけられる。
「前田課長、大丈夫、亜沙ちゃんこー見えて強いから!」

わたしの腕を引っ張って歩く安永さん。
年下の彼氏とうまくいっているようで、最近ご機嫌だ。


コートのポケットでスマホが震えた。
見ると、前田課長からのメール。

終わったら、メールして。会えたら嬉しい。

読んで、口元が緩む。

「あー亜沙ちゃん、やーらしー!彼氏から?」
大げさな安永さんの声に、慌てて否定する。
「残念ながら違います」
「えー、にやけてたよー今!」

賑やかな街を、賑やかに歩く。
12月の夜は開放的だ。


忘年会もまた、終始賑やかだった。
美味しいお酒と楽しい会話を楽しみながらも、亜沙子の心は少しずつ前田課長へ向かっていく。

22時を回った頃、「そろそろ終わりそうです」とこっそりメールをした。

こっちもそろそろかな

すぐに返信があり、場所を指定される。

「次も行こうよー」という安永さんをなんとか振り切って、前田課長の元へ急いだ。
早く会いたい、その一心で。


到着するも、前田課長の姿はない。
マフラーを巻き直しながら、ベンチに座る。
もうすぐ会えると思うと、また自然と口元が緩くなる。


5分ほどで、前田課長が現れた。
立ち上がると、「会いたかったー」と抱きしめられる。

「ごめん、なかなか抜けられなくて」
「わたしも、さっききたばかりです」
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