この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
M
第12章 女子トーク
「ええっ」
奈央ちゃんが、大きな声で驚く。
「…やっちゃってるの?」
「…うん」
「ええーっ」
親友である坂口奈央ちゃんが久しぶりにウチに来たのは、忘年会の翌週、水曜日だった。
前田課長との関係を、初めて他人に話した。
奈央ちゃんはわたしよりも何倍も人生経験豊富だし、何より小学校の頃からの付き合い。
それだけに「亜沙ちゃんが不倫なんて」と目を丸くしている。
「不倫とか、浮気とか、亜沙ちゃんとは一生縁の無い事だと思ってたわ」
「うん、自分でもビックリよ」
そうなんだ。自分でもビックリ。
奈央ちゃんに前田課長との一連の出来事を話していても、本当に自分のこと?というように思う。
「ごめん、一本吸って良い?」
「どうぞ」
奈央ちゃんが換気扇の下に行き、タバコに火をつける。
眉間に皺を寄せながら。
「好きなの?その課長さんのこと」
「んー…」
缶ビールを飲みながら、考える。
「好き…なんだと思う」
「課長さんも、亜沙ちゃんのこと好きなの?」
「…たぶん」
好きだよ、と一度言われたし…。
「和俊くんと別れても良いくらいの感じ?」
「…和俊と別れるなんて…考えてもない」
「まぁねぇ、課長さんも、奥さんと別れるつもりないでしょーよ」
「うん。奥さんの話とか子どもの話とか、聞いたことないし、聞けないし」
一番知りたいところは、一番聞いちゃいけないことだ。
「遊ばれてるわけじゃなくてー?」
「…ないと思う」
「ふうん」
こう言っちゃなんだけど、奈央ちゃんだって不倫は経験済みだ。
ただ、それは本当に「身体だけ」の関係だったそう。
「どこが好きなのよ」
「…どこなんだろう」
「和俊くんがさ、あんまり甘〜いタイプじゃないから、かわいいかわいいってチヤホヤしてくれてるその課長さんにフラフラしちゃってんじゃないの?」
「…うん。そうかも」
そうかもしれない。
それなら、ただ単に「好きな気がしている」と自分で勘違いしてるのかもしれない。
携帯灰皿にタバコを押し込み、奈央ちゃんがこっちへ帰ってくる。
ベッドに腰掛けて缶ビールに口をつける。
奈央ちゃんの追求は止まらない。
「例えばさー、課長さんが離婚するとして、彼氏と別れてくれって言ってきたら、和俊くんと別れて一緒になれる?」
「……そんな覚悟は、ない」
「だよねぇ」
奈央ちゃんが、大きな声で驚く。
「…やっちゃってるの?」
「…うん」
「ええーっ」
親友である坂口奈央ちゃんが久しぶりにウチに来たのは、忘年会の翌週、水曜日だった。
前田課長との関係を、初めて他人に話した。
奈央ちゃんはわたしよりも何倍も人生経験豊富だし、何より小学校の頃からの付き合い。
それだけに「亜沙ちゃんが不倫なんて」と目を丸くしている。
「不倫とか、浮気とか、亜沙ちゃんとは一生縁の無い事だと思ってたわ」
「うん、自分でもビックリよ」
そうなんだ。自分でもビックリ。
奈央ちゃんに前田課長との一連の出来事を話していても、本当に自分のこと?というように思う。
「ごめん、一本吸って良い?」
「どうぞ」
奈央ちゃんが換気扇の下に行き、タバコに火をつける。
眉間に皺を寄せながら。
「好きなの?その課長さんのこと」
「んー…」
缶ビールを飲みながら、考える。
「好き…なんだと思う」
「課長さんも、亜沙ちゃんのこと好きなの?」
「…たぶん」
好きだよ、と一度言われたし…。
「和俊くんと別れても良いくらいの感じ?」
「…和俊と別れるなんて…考えてもない」
「まぁねぇ、課長さんも、奥さんと別れるつもりないでしょーよ」
「うん。奥さんの話とか子どもの話とか、聞いたことないし、聞けないし」
一番知りたいところは、一番聞いちゃいけないことだ。
「遊ばれてるわけじゃなくてー?」
「…ないと思う」
「ふうん」
こう言っちゃなんだけど、奈央ちゃんだって不倫は経験済みだ。
ただ、それは本当に「身体だけ」の関係だったそう。
「どこが好きなのよ」
「…どこなんだろう」
「和俊くんがさ、あんまり甘〜いタイプじゃないから、かわいいかわいいってチヤホヤしてくれてるその課長さんにフラフラしちゃってんじゃないの?」
「…うん。そうかも」
そうかもしれない。
それなら、ただ単に「好きな気がしている」と自分で勘違いしてるのかもしれない。
携帯灰皿にタバコを押し込み、奈央ちゃんがこっちへ帰ってくる。
ベッドに腰掛けて缶ビールに口をつける。
奈央ちゃんの追求は止まらない。
「例えばさー、課長さんが離婚するとして、彼氏と別れてくれって言ってきたら、和俊くんと別れて一緒になれる?」
「……そんな覚悟は、ない」
「だよねぇ」