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第13章 クリスマス
亜沙子の答えにすっかり満足して、自分のデスクへ戻る。
時間は17時半を過ぎたところだった。
竹中はまだ出先から帰ってきてないようだ。

伝言メモに目を通しながら、ネクタイを緩める。
今日はもう出かける用件はない。


亜沙子と同期ということは、竹中もまだ25。
若いよなぁと思う。
自分がそれくらいの歳の時は、やはり同じように女へのプレゼントを何にするかと悩んでたんだろう。
その頃付き合っていた人は、どんな人だったっけ。


亜沙子は、何を贈られるんだろうか。
そして何を贈るんだろう。

俺からは何もしてやれないなぁと小さくため息をつく。


「帰りましたー」
バタバタと竹中の声がする。
持ち帰った書類を女子社員に渡し、そのまま資料作りを続けている亜沙子のところへ行った。

今夜の件でも話してるんだろう。
そこへ安永も加わり、楽しそうにしている。
いちおう定時が過ぎているということで、少し開放的になっているようだ。


しばらくして竹中が戻ってきた。
「課長、ネックレスにします!」と力強く宣言しながら。

「指輪も考えたけど、やっぱりサイズが心配なんで」
聞いてもないのに、そう言いながら椅子に座る。

「水本にプレゼント選び付き合わせるんだって?」
「そーなんすよ。なんせ女の人にプレゼントなんて、久しぶりなんで」
「メシくらい奢ってやれよ」
「わかってますよ。…あっ、前田課長も、一緒にきます?」
「おまえ、それはメシを奢らせるためだろうが」

睨むと、はははと笑いながらどこかに電話するのか受話器をあげる。


竹中は18時半に退社した。
亜沙子も揃ってフロアを出て行く。

明日は金曜日だ。
もしかしたら亜沙子と過ごせるかもしれない。


お疲れさん。
明日は予定ある?
早くふたりで会いたい。


メールを送る。
しばらくして、返信があった。


明日はなにもないので、会えたら嬉しいです。



読んで、頬が緩んでしまう。

明日のために、
もう少し仕事をしてから帰ることにしよう。
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