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第13章 クリスマス
【亜沙子 side】

竹中くんのプレゼント選びは、お店の閉店まで続いた。
会社を出たのが18時半だったから、2時間半。

大急ぎで何軒かを周り、結局2軒目のお店にあったネックレスに決めた。

彼女のために一生懸命な竹中くんの姿は、同い年のわたしが見ていてもなんだかかわいい。

「キミちゃん、愛されてるね」

遅い夜ごはんにイタリアンをご馳走してもらう。
パスタをフォークに巻きつけながら言ってみる。
もう、お腹ぺこぺこだ。

「愛してるもん」

即答の竹中くん。
茶化したつもりだったのに、大まじめな返事で笑ってしまう。

「水本も、彼氏から愛されてるっしょ?」
「…まぁ」
「なになに、うまくいってないの?」
「順調です」

身を乗り出しながら聞いてくる竹中くんを、左手で制する。

竹中くんは同期で、入社したときから一課と二課という関係だから、仕事以外のことも話してきた。
入社半年頃に彼女にふられた時は散々カラオケに付き合ったし、この夏の終わりに遠距離恋愛の彼女ができた時も散々惚気を聞かされた。

竹中くんの彼女のキミちゃんも、わたしたちの同期だ。
夏に集まったときにいい感じになり、その後付き合うことになったと報告があった。

それから数ヶ月、ふたりはとてもラブラブらしい。
遠距離恋愛だから、月に二回くらいしか会えないみたいだけど。


「水本は?彼氏に何プレゼントすんの?」
「うーん」

それはわたしも迷っている。
前田課長とのこともあるし、色々思うところはあるけど…。
椅子に座り直して、聞いてみる。

「竹中くんだったら、何が欲しい?」
「何でも嬉しい。キミちゃんからのプレゼントなら」
「あっそ」

呆れながらも、ちょっと羨ましいなと思ってしまう。
和俊がこんなふうに、ストレートに愛情を表現してくれたら…なんて。

和俊がわたしのことを大切にしてくれているのはわかってる。
それに、必要以上にベタベタしない関係が居心地良かったりもする。

それなのに、そんな不満を言ったらいけないし、別の男の人にフラフラしてるわたしが最低なんだ。


「キミちゃんが喜んでくれるといいね」
「俺からのプレゼントだもん、喜ぶに決まってるでしょ」
「はいはい」

パスタを食べ終えて、ナフキンで口元を拭く。


さっき、前田課長からメールがあった。
明日、会える。
ふたりで。

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