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第13章 クリスマス
亜沙子の隣にそっと腰をおろす。
「寒くない?」と尋ねると、「大丈夫です」と言う。

亜沙子の首が傾いて、肩に乗せられた。
身体が触れることで、いくらか安心する。


「やっぱり寒いかも。お布団入ってもいいですか?」
「うん、入ろう」

静かに布団をめくり、入り込む。
そのまま抱き合い、軽く口づける。
身体に巻きついていたバスタオルがだんだんくしゃくしゃになっていく。


「あったかい」
嬉しそうな声で身体を擦り寄らせてくる亜沙子。
「うん、あったかい」


しばらくそのまま、ゆっくりとした時間が過ぎる。
ふたりを包む微妙な空気。
けれどその体温は心地よくて、うとうとしてしまいそうだ。
つい、目を閉じる。


「課長?寝ちゃいました?」
遠慮がちな声。

「……んー、大丈夫」
「寝ててもいいのに。…前田課長の寝顔、見てみたい」
上半身起こして、肘をついた亜沙子が俺の顔を覗き込む。
「なんで」
「わたしは寝顔見られたから」、そう言いながら、少し頬を膨らまる。

腕を伸ばし、頬を触る。
ポンっと叩くと、ぶっと息が吹き出た。

「もうっ!」
亜沙子が怒りながら笑う。俺もつられて笑う。


今、こうして過ごしている時間が幸せだと思う。
シャボン玉のように、ほんの指先ほどの刺激で弾けてなくなる幸せだ。

たくさんのものを裏切って成り立っている、脆い幸せ。
永く続くはずがないし、続けていいわけではない。


仕事でも家庭でも、理想は様々あるが全てがそううまくはいかない。
むしろ、うまくいかないことのほうが圧倒的に多い。
大人になり、それらと上手に付き合うためにたくさん妥協してきた。上手に付き合うための方法を覚えてきた。


身体だけの関係で割り切れたら。
それができたらいいのに。

きっと…きっと亜沙子も同じように思っている、というのは俺の自惚れか。

「今」しかないふたりには、クリスマスもなにもない。
話題にすることすら罪。



ふたりのクリスマスは、お互いがその話題を出さないことで繋がっている。









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