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第13章 クリスマス
【亜沙子 side】
結局、和俊へのクリスマスプレゼントはネクタイとお財布にした。
「なんだか父の日みたい」と安永さんは笑ったけど、本人からのリクエスト。
お財布は学生時代から使っていたものらしく、ずいぶんくたびれたものを使っていたから。
「亜沙子は何がいい?」と聞かれたけれど、思いつかなくて…とりあえず美味しいごはんをご馳走してもらった。
「来月には誕生日もあるし、それまでに考えといてよ」と言われる。本当に何も思いつかない。
和俊と過ごすクリスマス。
ごく普通の、幸せな恋人同士のクリスマス。
当然、とても楽しい時間だった。
平日だから、仕事が終わってから待ち合わせた。
なんとなく今日、前田課長と顔を会わせ辛いと思っていた。前田課長は忙しいのか、出かけている時間が多くてほとんど姿を見かけなかった。
正直、ほっとした。
それでも頭の片隅に、前田課長が思い浮かんだりする。
そんなことでしか、所詮は繋がれないんだ、前田課長とは。
食事を終え、わたしの家で過ごす。
帰ってすぐにお風呂に入った。
冷えた身体を温めるには、やっぱりお風呂だ。
ベッドを背もたれにし、脚を伸ばして座る和俊の股の間にわたしが座り、腰にゆるく腕をまわされている。
ふたりでぼんやりTVを見てきたとき。
「…ね、亜沙子」
「うん?」
「年末年始の休みは?」
「えーと、29か…30日からかな。31〜3日までは確実に休み」
テレビの前にある卓上カレンダーを見ながら答える。
会社自体の休みは12/31〜1/3だ。
それを課のメンバーで12/30を休む人、1/4を休む人にわかれて5連休にする。
わたしは別に用事もないし、中本さんや安永さんの都合に合わせることにしていて、まだハッキリと決まっていない。
「俺のが長いのかー」
「あんまり長い休みも、後々しんどいよね」
「確かにね。…実家は?」
「お正月は帰んない。旅行行くんだって」
「ふうん…そっか」
和俊の腕に、ぐっと力がこめられる。
ひとつ、息を吸い込むのがわかった。
「うちの実家にこない?」
「え?」
思わず振り返って和俊の顔を見る。
照れたような笑顔。
結局、和俊へのクリスマスプレゼントはネクタイとお財布にした。
「なんだか父の日みたい」と安永さんは笑ったけど、本人からのリクエスト。
お財布は学生時代から使っていたものらしく、ずいぶんくたびれたものを使っていたから。
「亜沙子は何がいい?」と聞かれたけれど、思いつかなくて…とりあえず美味しいごはんをご馳走してもらった。
「来月には誕生日もあるし、それまでに考えといてよ」と言われる。本当に何も思いつかない。
和俊と過ごすクリスマス。
ごく普通の、幸せな恋人同士のクリスマス。
当然、とても楽しい時間だった。
平日だから、仕事が終わってから待ち合わせた。
なんとなく今日、前田課長と顔を会わせ辛いと思っていた。前田課長は忙しいのか、出かけている時間が多くてほとんど姿を見かけなかった。
正直、ほっとした。
それでも頭の片隅に、前田課長が思い浮かんだりする。
そんなことでしか、所詮は繋がれないんだ、前田課長とは。
食事を終え、わたしの家で過ごす。
帰ってすぐにお風呂に入った。
冷えた身体を温めるには、やっぱりお風呂だ。
ベッドを背もたれにし、脚を伸ばして座る和俊の股の間にわたしが座り、腰にゆるく腕をまわされている。
ふたりでぼんやりTVを見てきたとき。
「…ね、亜沙子」
「うん?」
「年末年始の休みは?」
「えーと、29か…30日からかな。31〜3日までは確実に休み」
テレビの前にある卓上カレンダーを見ながら答える。
会社自体の休みは12/31〜1/3だ。
それを課のメンバーで12/30を休む人、1/4を休む人にわかれて5連休にする。
わたしは別に用事もないし、中本さんや安永さんの都合に合わせることにしていて、まだハッキリと決まっていない。
「俺のが長いのかー」
「あんまり長い休みも、後々しんどいよね」
「確かにね。…実家は?」
「お正月は帰んない。旅行行くんだって」
「ふうん…そっか」
和俊の腕に、ぐっと力がこめられる。
ひとつ、息を吸い込むのがわかった。
「うちの実家にこない?」
「え?」
思わず振り返って和俊の顔を見る。
照れたような笑顔。