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第14章 今年、最後の…
給湯室の掃除を終え、フロアに戻ってからも時間の流れがゆっくりだった。

電話も少ないし、回ってくる書類も少ない。
17時にチャイムが鳴った時、中本さんも安永さんも、そしてわたしも「やっと17時!」と声を揃えた。

前田課長には17時半と言ったけど、もうすぐにでも出られそうだ。

みんなに「良いお年を」と挨拶をして、フロアを出る。
ちらっと一課を見ると、前田課長も立ち上がって雑談をしてるような雰囲気だ。


今年の仕事が終わった。
5連休かぁ。


とりあえずいつもの本屋さんにでも行くかと思った時、スマホが震えた。
前田課長からだ。

「はい」
「もしもし、俺も終わったんだけど、今どこ?」
「本屋さんで待とうと思って…まだ会社の近くですけど」
「じゃあ、俺もそっち向かうね」

会社の近くで、ふたりになるのはマズイ。
今日はみんな早々に退社してそうだし。
わたしは少し早歩きで本屋さんに向かった。


着いた!と思ったすぐ後に、前田課長もやってきた。
2分差くらい。
すぐお蕎麦屋さんへ向かった。
お蕎麦以外のお料理もたくさんあって、まずはビールで乾杯する。

「お疲れ様」
「お疲れ様でした」

小さく乾杯して、美味しい天ぷらをいただく。

「どんな1年だった?」と聞かれ、少し考える。

どんな1年と言われても…
「1年」というか、この2ヶ月がわたしの中で思いがけないことの連続で。

「良い1年でしたよ」
「…俺も」
一口ビールを飲んで、ちらっとこちらを見る。

「亜沙子と仲良くなれたし」
「…またそーゆーこと言う」

恥ずかしくなって視線を逸らす。
熱々の出汁巻たまごをつつく。

「ほんとだよ。去年、会社のエレベーターで一緒になった時から、かわいいなーって思ってたんだ」
「去年?」
「そう、去年。出張でここに来た時」

覚えてない。
そんなことがあったかな。
思い出そうとしても、まったく記憶にない。
その様子を見ていた前田課長が、笑いながら言う。

「亜沙子が覚えてなくても無理無いよ。ほんとに、ただエレベーターに乗り合わせただけだから」
「…そうですか」
「うん。けどこっちに来た時、あ、あの子だなってすぐわかった。やっぱりかわいいなって」
「…ありがとうございます」

ちょっと、いや、かなり嬉しい。
ニヤけそうになるのを、ビールを飲むことでごまかす。




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