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* 花音’s short story *
第4章 ◆ episode3 ** 藤枝 美羽 × 結城 恒 編
夕方から始まった、長い打ち合わせを終えて、席に戻ったのは19時過ぎ。



………もう帰ったのかな。

スマホを確認するけれど、メッセージは届いていない。


「藤枝さんは?」

美羽さんの隣の席の中原に声をかける。

「美羽先輩なら倉庫に資料探しに行ったよ」

「そっか。ありがとう」



今日はクリスマスイブ ──。

だけどお互い仕事が忙しく、19時を回ってもまだ社内にいた。


ガチャ ──

倉庫の扉を開くと、冷たい空気に身体が震えた。

電気はついているけれど、彼女の姿が見えない。


「美羽さん?」

名前を呼ぶと、一番奥の棚からひょっこり彼女が顔を出した。


「結城くん。打ち合わせ終わったの?」

「やっと終わった」

「あのメンバーは時間かかるよね」

くすくすと美羽さんが笑う。



彼女の笑った顔を見るだけで、疲れてすり減った心が癒される。


「寒いね、ここ。手伝うよ」

彼女が手にしているリストを覗き込む。


「いいの?」

「うん。手分けして早く終わらせよ。長い時間いたら風邪引く」

「………ありがとう」


手分けして目的の資料を探し、10分程で全て揃えることが出来た。
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