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恋愛無双ーレンアイムソウー
第2章 初デート


高速道路を飛ばして辿り着いたのは
年月を感じさせる少し廃れた博物館。


「……どうして……?」


結子は手を口元に押さえて博物館を見つめながら
独り言なのか山中に対してなのか
分からない様な声を出した。


ーーーここは……


「ごめんね、結子さん。
ここ……嫌いな場所なんでしょ?」


山中は申し訳なさそうに眉を下げて
声のトーンを落として結子に声を掛ける。

胸が鈍い音を立てるのを感じて
結子は手を胸に当てる。


ーーー聞いた、の?


「あのっ……」


結子が意を決して口を開くと
山中が人差し指を立てて自分の唇につける。


「何も言わないで。
詳しい事は聞いてません。
聞いたのは…結子さんにとってこの場所が
'嫌い'という事だけです」


ーーー詳しくは聞いてない?


「何があったのか分からないし
俺には想像もつきません。
でも俺、前に言いましたよね?」


ーーー何を言ってたっけ…


結子は辛うじてこの場に立ってる様な
体が重い感覚に目を閉じる。


「結子さんのマイナス思考を
俺のプラス思考で変えたいって
言いましたよね。
だからまずはここだと思うんです」

「えっ…」


ーーー山中さんは何を言ってるんだろ…
まずはここって…どうしようもないのに。


離れて立っていた山中が
結子に近付いて肩を掴み顔を覗く。


「ここで俺とデートしましょ?」

「っ……」


結子は真意を確かめる様に
顔を上げて視線を山中へ向ける。

そこにあるのは曇りのない
優しさだけが浮かぶ瞳と柔らかく微笑む顔。


「記憶を上書き保存しましょう」

「…!!」


ーーーこの人は事情も知らないのに
何でこんな事が言えるんだろう…


胸の奥底から昔の痛みを引きずり出す。

でも山中の言葉のおかげで
痛みは温もりに包まれていく。


ーーー出来る事なら、私だって
この記憶は消してしまいたい……!


「山中さん…」

「はい?」


変わらない表情で山中が応える。

こんな時に素直に泣けたら良いのに。


「上書き…手伝って下さ…い」

「勿論です」


ーーー今私すごい顔してる…


困らせない様に涙は流せないと
結子は我慢していた。


「我慢しなくて良いのに」


山中の呟きが聞こえた瞬間
強く腕の中に包まれていた。

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