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恋愛無双ーレンアイムソウー
第2章 初デート


「山中さ…ん」


結子が小さく声を吐くと
腕の力が更に強まった。

顔が熱くなるのを感じる。


ーーー男の人に抱き締められたの…
いつ振りだろ……?
大きくて、強くて、温かい……


「俺……目ぇ閉じてますから。
泣いても良いんですよ?」


頭上から聞こえる山中の声は
大人の男の雰囲気を醸し出していて
凄く心地が良い。


首を反らせて顔を上げると
結子よりも今すぐ泣いてしまいそうな
山中の顔があった。


「私は……大丈夫です。
それより……山中さんの方が……」


結子は目を細めて山中を見つめる。

分かりやすく眉が下がっている。


「あっ……俺も大丈夫です!
てか、すみません!」

「いえ……」


山中は慌てて結子から体を離すと
博物館の方へ一度目を向けてから
結子に視線を戻す。


「もう営業はしてないとの事なんですが
開放はしているみたいです」

「そう、なんですね…」

「入ってみて、それでも無理そうなら
すぐに出れば良いんですよ」

「はい…」


そう言ってみるものの結子は
手が小刻みに震えていた。


ーーー怖い……けど……
私も進まないと…ダメだよね…


山中の手が結子の手を掴む。


「行きましょう!」


大きな手のひらが
結子の震えを少しずつ消していく。

振り払おうと思えば出来る程の
優しい力で握られた手を
結子は黙ったまま強く握り返した。

山中が振り返ったけれど
結子は目を伏せて自分の手を見つめる。


ーーー山中さんの顔見れないよっ…



一歩ずつ近付く建物。

所々がひび割れた外観を晒すそこは
7年前迄は立派な博物館だった。


ーーーあの時のままだ…


雨風で汚れ果てた外観を見るに
清掃などは一切されてないのだろう。

入口の扉に掛けられたボードには
【ご自由にお入り下さい】
と簡潔に文字が並んでいた。

館内へ足を進めると
山中と結子に気付いた
ボランティアらしき年配の男性が
にこやかに笑って近寄ってきた。


「こんにちは。
好きなだけ見ていって下さいね。
あ、足元には気を付けて…
これ良かったらどうぞ」

「ありがとうございます~!」


愛想良く対応した山中は
パンフレットを受け取るとすぐ
結子の手を引いて足を進める。


ーーー終らせよう。


結子は少しの間、目を閉じていた。

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