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恋愛無双ーレンアイムソウー
第2章 初デート


「……こ……さ……ん……」


記憶の奥底に封印していた過去は
とても鮮明に浮かび上がり

彼がまるで隣にいるかの様に
一つの標本から目を逸らさずに
結子は言葉を吐いた。


「ねぇ…このカブトムシだよね」


彼が幼い頃から山で採ってたと
楽しそうに何度も写真を見せてくれた
同じ種類のカブトムシ

あの日もこんな風に隣に並んで
写真と同じカブトムシを見つけた結子は
彼に向かって尋ねた。

嬉しそうに返ってきた言葉は
今はもう聞こえない。


「ゆいこ…さん」

「……あっ……」


彼とは違う声の持ち主を思い出して
結子は山中を見上げた。

目を細めて小さく微笑んで
山中は結子を見つめている。


「何か……思い出してましたか?」

「いえっ……その……」


口ごもる結子から問いただしたりせず
山中は結子から目を逸らす。


「俺、実は博物館って来るの初めてです。
……小学生の頃に博物館見学とかあったけど
大人になって改めて来るのは初かな。
たまには良いもんですね」

「あ……付き合わせてしまって……」

「全然。俺恐竜とか好きだから楽しいし
結子さんと来れて、すげー嬉しいです。
今まで来なかったのが勿体ない位…」

「そうですか…」


山中が本当に楽しそうに笑うので
嘘ではないのだと分かり、安堵した。


「結子さん博物館が好きなんですか?」

「博物館の雰囲気も好きなんですけど…
開催される企画の方に惹かれる方ですね」

「なるほど…これはいのちの巡りが
テーマなんですよね」

「そうです。どんな風にいのちが
続いてきたのかを見たくて……」


彼に話した瞬間を思い出す。


「何か……結子さんっぽいですね」


彼と同じ言葉が返ってきた。


「え……?」


戸惑いに揺れる瞳を山中へ向ける。


「いや、結子さんの周りに流されてない
雰囲気とかを見て思ってたんです、
人とは違う自然の感覚を持ってる人だなって」

「…自然の感覚?」

「上手くは説明出来ないんですけど、
見解の仕方が違うんだろうなって。
例えば、俺がこの恐竜を見て
'すげーかっけぇー'と思うとして、
結子さんの場合は……
'恐竜の始まりから終わりまで'を
深く考えてるのかな~って。
……どう?当たってます?」


全てを見透かされてる感覚に
結子は両手で顔を隠した。

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