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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
「言ったはずだ。俺は今夜何度も泉夏に誘惑され続けてる」
-忘れてしまったなんて言わせない。
恋情を秘めた両眼で見つめれば、彼女は恥ずかしそうに視線を逸らしてしまった。
これを手渡されるよりも、もうずっと前から。
これがあろうがなかろうが-いや、更に惹かれてしまってる。
身を焼かれるほどの羞恥であっただろうに。
それでも尚、自分にこれを-。
『今夜は用意がなかったはず』のものが、自分の掌に現実に収まっている。
不思議な感覚の中その包みを眺めていれば、彼女が呟いた。
「先生に渡さないままで終わるはずだった。何度か先生が、自分の気持ちを教えてくれたじゃない?やっぱり私と同じ事を思ってくれてるって、とっても嬉しかった。それで私も良かったの。ふたりでおんなじ思いでいれて、なんて幸せな夜だろうって。抱き締めてもらって、キスしてもらって。他の何もしなくてもいい。このまま朝までいたいって」
-けど。
今の自分なら、もうなんだって言える気がした。
泉夏は正直な心情を全て吐露する決意をする。
-忘れてしまったなんて言わせない。
恋情を秘めた両眼で見つめれば、彼女は恥ずかしそうに視線を逸らしてしまった。
これを手渡されるよりも、もうずっと前から。
これがあろうがなかろうが-いや、更に惹かれてしまってる。
身を焼かれるほどの羞恥であっただろうに。
それでも尚、自分にこれを-。
『今夜は用意がなかったはず』のものが、自分の掌に現実に収まっている。
不思議な感覚の中その包みを眺めていれば、彼女が呟いた。
「先生に渡さないままで終わるはずだった。何度か先生が、自分の気持ちを教えてくれたじゃない?やっぱり私と同じ事を思ってくれてるって、とっても嬉しかった。それで私も良かったの。ふたりでおんなじ思いでいれて、なんて幸せな夜だろうって。抱き締めてもらって、キスしてもらって。他の何もしなくてもいい。このまま朝までいたいって」
-けど。
今の自分なら、もうなんだって言える気がした。
泉夏は正直な心情を全て吐露する決意をする。

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