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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
なら、諦める?
申し訳ないと思うなら-やっぱり、やめる?
彼に返す?
今ならまだ-。
無我夢中で彼女を攻めていた動きが、一旦中断される。
秀王は、泉夏の喉元から唇を離した。
「はぁ…っ」
果てのない心地良さからようやく解放され、泉夏は安堵の吐息を漏らす。
脱力し、自らの腕に大人しく収まっている彼女を窺えば-やがてこちらに顔を向けてきた。
泉夏のその艶めいた眼差しに、秀王は身震いする。
無意識のうちに、喉が鳴っていた。
後ろめたい気持ちがないと言ったら嘘になる。
でもだからと言って、手に入れなくていいのかと問われれば-違った。
もしも罪になると言うのなら、それを背負ってでもいい。
それで構わない。
やはり彼にはもう渡せなかった。
『指を咥えたまま』では、もういない。
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