この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
いよいよ彼の手を必死に握っているだけでは、心許なくなる。
今だって、もうこんなになってるのに。
手だけじゃ、もう耐えられる自信なんかなかった。
「せんせ…て…」
-てを、はなして。
弾む息の途中途中で、泉夏はようやく願う。
手じゃなくて。
その背に抱きつきたい。
その腕で、ぎゅって抱きしめて欲しい。
でなければ、もうだめ。
これ以上気持ち良くなってしまったら、泣いてしまうかもしれない。
自分でもよく分からない感情に押し潰され、涙が零れてしまいそうだった。
彼はきっと自分の望むとおりにしてくれる-そう思っていたのに。
「まだ返事をもらっていない」
ひととき、泉夏のそこから唇を離し、秀王は呟いた。
今だって、もうこんなになってるのに。
手だけじゃ、もう耐えられる自信なんかなかった。
「せんせ…て…」
-てを、はなして。
弾む息の途中途中で、泉夏はようやく願う。
手じゃなくて。
その背に抱きつきたい。
その腕で、ぎゅって抱きしめて欲しい。
でなければ、もうだめ。
これ以上気持ち良くなってしまったら、泣いてしまうかもしれない。
自分でもよく分からない感情に押し潰され、涙が零れてしまいそうだった。
彼はきっと自分の望むとおりにしてくれる-そう思っていたのに。
「まだ返事をもらっていない」
ひととき、泉夏のそこから唇を離し、秀王は呟いた。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


