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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
「してる。やめてって…やだって、言ったのに」
-『絶対やめない』って。
上気した頬で泉夏が訴えれば、秀王は苦笑した。
「うん。『絶対やめない』」
なんの悪びれもなくおうむ返しされ、泉夏は癪に障ってしまう。
「…ほら、やっぱり意地悪」
「『何をされてもいい』…そう言ったのは誰?」
秀王が揶揄すれば、泉夏は口籠る。
「…けど。だって」
「『俺でいい』…そう言ってくれたのは、誰?」
唇を閉じた彼女の代わりに、秀王は続けた。
「泉夏だ」
泉夏は秀王から瞳を逸らせない。
彼の双眸に囚われているうちに深く口付けられ、中断されていた戯れが続行される。
「『俺でいい』って言ってくれたのに『やめて』なんて矛盾してる。それともやっぱり俺ではだめになった?」
首筋にキスを幾つも落としながら、秀王は彼女に問う。
『そうじゃない』のは知っていながらの質問-これが本当の『意地悪』だった。
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