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第15章 蜜夜の春

こういう事は『初めてではない』けれど－ほんの数回、それももう数年前の話。
だから自分としては『初めて』と、ほぼ変わりない気持ちだった。
応じる身体にしても正直『大丈夫かな』と不安だった。
つまり－例えばもしも、痛みを感じたりしたらって。
でもそんな心配などいつの間にか、綺麗さっぱり取り払われていた。
触れる指が。
触れる唇が。
あくまでも急がなくて。
どこまでも優しくて。
自分を一番に考えてくれているのが、十分伝わっていた。
怖さも憂いも、負の思いは全て消え失せていた。
身体の隅々までもが、ただ悦んでいた。
自分は間違いなく『愛されている』。
その揺るぎない事実が快楽に貪欲となり、極限に達する。