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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
泉夏は驚きに目を見張った。
何を言っているの?
何をしてるの?
全然そんなんじゃない。
私は、さよならを。
ただ彼に一言、さよならを言って帰りたいだけ。
なのに、どうして。
この人は何を言っているの。
どうして私の腕を掴んでいるの。
大樹に何でもないから離してと懇願するのと、准教授と擦れ違うのは同時だった。
秀王はふたりを一瞥し、すぐ前方に視線を戻した。
何事もなかったように歩みを進められ、やがて遠ざかってゆく。
先生。
先生、待って。
私、先生にさよならを。
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