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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
テーブルに置いていたスマートフォンが震えた。
図書館から借りてきた本から視線を移せば、メールの受信を告げていた。
差出人は見なくても分かってる。
本文を読み、それはすぐに確信に変わった。
胸は大きく高鳴り、隠しようのない喜びに笑みが零れてしまう。
けれどもそれは、今夜ばかりは仕方がない事だった。
駅近くのコーヒーショップ。
間もなく午後七時になろうかとしていたが、平日にもかかわらず店内はほぼ満席だった。
硝子張りのざわめく店の中から、外に目をやる。
少し遠くの道路の端に、ライトアップされた一本の満開の桜の木が見えた。
白い光を浴びて妖しく浮かび上がる夜桜は、うっとりするくらい幻想的だった。
暫し見惚れてしまっていたが、慌てて我に返る。
広げていた小説を閉じ、飲み残していたソイラテを急いで飲み干す。
鞄から化粧ポーチを取り出し、ピンク色の口紅を塗り直した。
手鏡で胸元まで伸びた髪の毛のカール具合を見、腰を上げようとし-背後に、黒い人影。
そのひとの顔を確めようと鏡の角度を少し、ずらす。
図書館から借りてきた本から視線を移せば、メールの受信を告げていた。
差出人は見なくても分かってる。
本文を読み、それはすぐに確信に変わった。
胸は大きく高鳴り、隠しようのない喜びに笑みが零れてしまう。
けれどもそれは、今夜ばかりは仕方がない事だった。
駅近くのコーヒーショップ。
間もなく午後七時になろうかとしていたが、平日にもかかわらず店内はほぼ満席だった。
硝子張りのざわめく店の中から、外に目をやる。
少し遠くの道路の端に、ライトアップされた一本の満開の桜の木が見えた。
白い光を浴びて妖しく浮かび上がる夜桜は、うっとりするくらい幻想的だった。
暫し見惚れてしまっていたが、慌てて我に返る。
広げていた小説を閉じ、飲み残していたソイラテを急いで飲み干す。
鞄から化粧ポーチを取り出し、ピンク色の口紅を塗り直した。
手鏡で胸元まで伸びた髪の毛のカール具合を見、腰を上げようとし-背後に、黒い人影。
そのひとの顔を確めようと鏡の角度を少し、ずらす。

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