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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
-やっぱり、大人しく家に帰ってれば良かったな。
隣りを歩く大樹の横顔を、気付かれないよう盗み見する。
行きも一緒。
そしてなんでまた帰りまで、駅への道を一緒に歩いているんだろう-溜め息が出る。
手持ち無沙汰で、スマホの画面を覗いてみる。
兄からのライン。
はいはい、今から帰りますよ-こっちはこっちで申し訳ないけれども、別の意味でうんざりしてしまう。
「メール?」
目敏く大樹に、声をかけられる。
「あ、うん…お兄ちゃんから」
「夜遅いと、女の子は心配されるよね」
大樹のどこかほっとしたような言い方に、心がざらつく。
-なんか、やな感じ。
彼のせいじゃない。
それは分かる。
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