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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「そんな事有り得ないって、本人が断言出来るけど。…でも泉夏は、多分本気で言ってる?」
「…言ってる」
少なくとも今はまだ、自分の予想でしかない。
そんな事でいちいち先回りして、余計な想像して-馬鹿みたい?
今度こそ『子供みたい』って嗤われてしまう?
色んな考えが頭を巡ったが-でも結局、思い切って言った。
なんて返されるだろうか-胃がきゅっとなりながら待てば、ついさっきまで自分のそれに重なっていた唇が額に宛がわれた。
固唾を呑んでいれば、額に触れたままの口唇が開(あ)いた。
「絶対ない事でもそうやって心配されると、少し…凄い嬉しい」
「…だから。物事に絶対なんてないし」
悠長に、しかもなんだか論点がずれた事で嬉しがられ-ちょっと違うと思ってしまう。
自分が言いたかったのはそういう事じゃなくて-泉夏が反論しようとするより早く、額に熱い息がかかった。
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