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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
いきなりでかなり面食らった秀王だったが、有無を言わさぬ龍貴の迫力に大人しく従うしかなかった。
持参していた本を下敷き代わりに、言われるまま立ち姿勢で書き記す。
書き終えたと同時に、龍貴は奪うように秀王の手から名刺を回収した。
『今度連絡する、旧交を温めようぜ』
-じゃ、俺仕事に戻らないといけないから。
呆気にとられている秀王をその場に置き去りに。
泉夏の腕を強引に引っ張り、龍貴は早々と踵を返す。
「ちょ、ちょっと、龍…!」
頭を混乱させている泉夏の手に、不意に何かが握らされた。
見覚えのある綺麗な数字やアルファベットの羅列が並んだ、四角い紙片-。
「…!」
目を見開いた泉夏に、龍貴は勝ち誇った微笑みを向けた。



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