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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「ちょっと時間がかかりますが、気にせず進めていて下さい。分からないところは、後で泉夏に教えてもらうので-」
-ね?
最後は親友に向けて、麻衣は念を押した。
秀王以上に麻衣の行動がまるで理解出来ていない泉夏は、戸惑いながらも頷く。
行ってらっしゃい-見送り、程なく気付く。
私、先生ふたりきり-。
勿論、カフェテリアの中には学生達がまだ結構残っていた。
だがこの広い空間、彼と向かい合って座っているのは-他ならぬ自分だけだった。
麻衣-親友の思惑に、胸がいっぱいになる。
麻衣は、私と先生をふたりきりにする為に-。
ノートの一点に視線を定めたまま、シャーペンを持つ手が止まった泉夏に、秀王は躊躇いながらも告げる。
「…彼女が戻ってから続けようか」
「え?」
「その方が良さそうな気がする…何となく」
答えを求め、泉夏泣きそうな顔で彼を見た。
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