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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「…聞いても?」
僅かの沈黙を経て、秀王は口を開いた-テキストに視線は落したまま。
泉夏は黙って、彼の次の発言を待つ。
「記憶違いでなかったら、確か前期試験でS評価をつけたと思ったが」
「先生の記憶に間違いがあるわけないじゃないですか」
泉夏は周りに気付かれない程度の、小さな笑い声を立てる。
「S評価をもらったのは先生の授業だけでした。有栖川先生は成績を厳しくつけるって有名だったから、テスト勉強頑張りました。…もしかして、おまけしてくれていたとか?」
まさか-准教授は面白そうに、口元を緩めた。
「そんな事は一切しない。全て明確に公平に採点している」
彼は続ける。
「だから毎回そんなに質問に来る程、授業の内容が理解出来ていないとは到底思えないのだけれども?」
「…買い被り過ぎです」
「最初は、自分の講義の内容が余程悪いのかと思ってた」
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