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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「そうじゃなく」
「え?」
「龍貴が折角先生のアドレスと電話番号訊いてくれたのに、一度も連絡すら出来てなくて」
「は?」
「申し訳なくて。謝らないとって、ずっと思っていたんだけど、なかなか言い出せなくて」
-勇気のない私で、ほんとごめんなさい。
抑揚のない声で謝り、窓側に顔を背ける。
チャンスをもらったのに、それを生かせない。
一歩を踏み出せない。
だから同じ毎日の繰り返し。
想って。
悩んで。
想い、悩む-延々に。
電話をかけたら、何かが変わる。
でも自分自身が直接教えてもらった番号ではないのに-そこからもう、違う気もする。
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