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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「先生、どこか具合が悪いの?」
詰め寄られ、再度狼狽える大樹。
「いや、そこまでは訊かなかったし分からないけれども」
「……」
「でも見た感じは、いつも通りで元気そうだったよ」
大樹の付け足しも、泉夏の耳には入らなくなる。
急にもの凄く心配になる。
病気?
怪我?
そう言えば-泉夏は、冬休み前を思い出す。
カフェテリアで勉強を教えてもらったあの日、帰る間際に電話を取っていた。
急用が出来たみたいだったけれども、何か関係があるのかな-。
明らかに負のモードに入ってる泉夏に、龍貴は面倒臭そうに言った。
「歯医者とかのオチじゃねーの」
食事を終え、手持無沙汰の龍貴はジーンズのポケットを探る。
煙草の替わりを務めるガムを、車に置いてきたままだったのに気付く。
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