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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
龍貴はテーブルに頬杖をつき、愉快そうに泉夏を眺めてる。
しかし龍貴の意に反し、大樹の続けたそれは全く面白味のないものだった。
「いや、一人だったよ」
「ほんと?」
滑稽なくらいに安堵する。
泉夏は胸を撫で下ろした。
こんな小さな事一つ一つに、馬鹿みたいにいちいち喜ぶ自分。
だって私は、大学の中でしかあなたに逢えない。
学校でしか話も出来ない。
知りたい事がいっぱいで。
分からない事があまりも多過ぎて。
故に悪い事ばかりを想像して-もしかしたら現実かもしれないけれども。
脱力した泉夏の姿に、大樹は少し笑って続けた。
「挨拶したら、病院に行くところだって教えてくれたよ」
「病院?」
再び、泉夏の表情が険しくなる。
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