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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
そういう自分を演じているだけ。
あの見た目だって。
真実と異なる自分を見せて、それでもそんな自分でもいいと言ってくれる人間だけを見極めている。
そんな龍貴の言う事だから、きっと伊東君は本当にいい人で。
だからこそ、私に言い聞かせてくれたのだろう。
龍貴がそう見抜いたのなら、間違いないのかもしれない。
『お兄さん、流川の事好きなんじゃないのかな』
彼が何を持ってそう判断しているのか知らないけれど、もし事実なら自分じゃない他の人との交際を勧めたりしないだろう。
まあ、自分と龍貴の関係を問われれば、一瞬考え込んでしまう。
恋人では勿論ないけれど、友達とも微妙に違うし。
ただの顔見知りでも、家族でも、血の繋がりのある兄でもない。
どの枠にもはまらない、思えば不思議な存在かもしれない。
でも、信頼はしてる-それも、かなり。
彼も多分、自分には本心で接してくれていると思う。
そういう部分を、何か誤解しているのかな。
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