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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
今日は高い高いところまで連れて行ってくれた。
贅沢は何も望まない。
この場所にいつまでもいたいだけ。
それすら高嶺の花だと言うのなら、私は-。
「二人とも、レベルが高過ぎるなあ」
大樹の声に、泉夏は訝しげに目を細めた。
二人-誰と誰?
なんの事?
「俺なんかに比べたら全然大人だし、かっこ良さも段違いだよな」
「伊東君?」
「でも。やっぱり諦めきれない」
大樹は泉夏を真っ直ぐに見据えた。
いつもの彼とは違う眼差しに少しだけ怖くなり、泉夏は心持ち身を引く。
そんな泉夏を改めて真摯な双眸で射抜き、大樹は宣言した。
「諦めないよ、流川」




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