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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
飛んでいきそうな意識の狭間、泉夏はノートを教卓に広げる。
薄桃色の爪で指差せば-そこで初めて、彼は彼女を見た。
「ここです、先生」
泉夏も静かに視線を返す。
秀王は小さく頷いた。
利き手の左手にペンを持った拍子に覗く腕時計。
あなたと私の時を刻んできた、時計。
この時間(とき)だけはあなたに寄り添う口実があるから、少しだけ大胆に顔を寄せてみる。
あなたの匂い。
あなたの温もり。
あなたの息遣い。
どうしてこんなにどきどきするの。
今日は窘められてもいい。
あなたの秀麗な面(おもて)を、こっそり盗み見する。
長い睫。
通った鼻筋。
その、唇-。
薄桃色の爪で指差せば-そこで初めて、彼は彼女を見た。
「ここです、先生」
泉夏も静かに視線を返す。
秀王は小さく頷いた。
利き手の左手にペンを持った拍子に覗く腕時計。
あなたと私の時を刻んできた、時計。
この時間(とき)だけはあなたに寄り添う口実があるから、少しだけ大胆に顔を寄せてみる。
あなたの匂い。
あなたの温もり。
あなたの息遣い。
どうしてこんなにどきどきするの。
今日は窘められてもいい。
あなたの秀麗な面(おもて)を、こっそり盗み見する。
長い睫。
通った鼻筋。
その、唇-。

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