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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
ノートを抱え、彼の前に立つ。
先生-呼ぶより先に、教壇の上を片付けていた彼は下向きのまま、低い声で尋ねた。
「どこ?」
分からないのは-尋ねる秀王に、泉夏は少しだけ、優越感を覚える。
声をかけなくても。
顔を確認しなくとも。
あなたは知っている。
この教室にさっきまでいた大勢の中の誰でもない、この私があなたを求めて来たと、確かに知ってくれている。
毎週繰り返し質問するのは私ぐらいで、だから予想が立つのだと言われればそれまでだけれども。
どんな理由でもいい。
あなたが私を感じている。
何も言わなくても、あなたが感覚で、私を-。
その事実だけでもう、恍惚としてしまう。
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