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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「…ご、ごめんなさい」
泣き顔を誰にも見られぬよう、ノートで隠す。
興奮した気持ちを、どうにか静めようと努力する。
震える唇で、深呼吸をする。
「私…後期試験も精一杯頑張ります。また先生に認めてもらえるように。本当に、頑張るから。だから-」
-また、こうして褒めてくれる?
褒めて欲しい。
どきどきしながら待てば、ノートの向こう側から愛しいあの人が優しく言った。
「頑張れ-」
まだ涙は乾いていなかったけれど-笑顔になれた。
「二年生の講義も一生懸命受けます。だからまた、教えてくれますよね?」
-教えて欲しい。
ノートから顔を離し、泉夏は泣き笑いの顔を見せた。
少しの間があり。
秀王は、静かに微笑んだ。




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