この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
彼の左手が、真っ新な白い紙一面に、大きな花丸を描く-幼い頃、誰もが学校の先生にもらったであろう、赤い花を。
そして、その花丸に添えるように、一年間見慣れた綺麗な文字が並ぶ。
excellent!
書き終え見開きのまま、泉夏に向きを変え、秀王はノートを差し出す。
泉夏は恐る恐る、そのノートを受け取る。
「私の方こそ。一年間完璧とは言えない授業を、一日も休まず真剣に受けてくれた。前期試験も申し分ない成績だった」
穏やかで優しい笑みが泉夏を包んだ。
「そのお礼とご褒美に」
「…!」
今日は泣かないって決めていたのに。
笑って先生の講義を最後まで受けようって決めていたのに。
こんなところで泣いたら先生がとっても困ってしまう。
そう思ったけれど-溢れる涙を、どうしても止める事が出来なかった。
そして、その花丸に添えるように、一年間見慣れた綺麗な文字が並ぶ。
excellent!
書き終え見開きのまま、泉夏に向きを変え、秀王はノートを差し出す。
泉夏は恐る恐る、そのノートを受け取る。
「私の方こそ。一年間完璧とは言えない授業を、一日も休まず真剣に受けてくれた。前期試験も申し分ない成績だった」
穏やかで優しい笑みが泉夏を包んだ。
「そのお礼とご褒美に」
「…!」
今日は泣かないって決めていたのに。
笑って先生の講義を最後まで受けようって決めていたのに。
こんなところで泣いたら先生がとっても困ってしまう。
そう思ったけれど-溢れる涙を、どうしても止める事が出来なかった。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


