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桜の季節が巡っても
第5章 別離の春
電車を降り、駅から自宅までの道のりを徒歩で進む。
街灯がほのかに道筋を照らしているが、やはり夜道の一人歩きは少し怖い。
一応、若い女子だし。
門限を過ぎる日は必ず家に連絡。
いつもなら兄の涼が駅まで迎えに来るのだが、金曜の夜という事もあり、今日は会社の飲み会でまだ帰ってないらしい。
いつもは正直ちょっとうざったいなと思わなくもないが、いなきゃいないで心細い。
夜の薄暗い道を帰る時に限っては、いてくれないと困るかも。
コンビニを過ぎる。
ここを超えると、後は本当に街灯だけが頼り。
歩くスピードが自然と速まる。
気を紛らわそう-思ったのに、またあのひとの事。
余計に滅入ってしまう。
これじゃ逆効果-考え直そうとしたその時。
背後から何者かに、いきなり抱きつかれた。
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