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桜の季節が巡っても
第5章 別離の春
「いや~。誰かに説教されたのって十年振り?もっとか?」
翌日の昼下がり。
ファミレスの座席に脚を投げ出し、龍貴は記憶を呼び覚ます。
「高校の時に、ほぼ毎日親父に怒鳴られていた以来?煙草と酒に加え、学校では規則違反繰り返して、よく呼び出しくらってたからなあ。…今にして思えば、よく見捨てないで育ててくれたよな。自分の親ながら感心する」
「…ご、ごめん」
龍貴の昔話を聞きながら、真向いに座った泉夏は肩身が狭い。
謝る泉夏に、龍貴は口元を歪めた。
「なんともないに決まってるだろ」
「まあ。うちのお兄ちゃん程度に何言われても、龍貴はびくともしないだろうけど。…でも、昨日はやっぱりごめん」
迷惑をかけた事に変わりないので、もう一度謝罪しておく。
「お兄ちゃん程度って、お前も結構辛辣だよな」
面白そうに言って、龍貴はスマートフォンのロックを解除する。
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