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第5章 別離の春

当たり前だろ－彼は最上の微笑みを泉夏に与えた。
「泉夏は俺にって大切な存在なんだから当然だ。これからだって、どんな時だって、困った時は力になる。だから必ず俺を頼れ」
分かったか－龍貴は有無を言わさぬ力強さで命じた。
「…うん」
泉夏は嬉しさに幾度も頷いた。
「その代わり。涼に俺はほんとに悪くないって事を、よくよく言い聞かせてくれ。頼むから」
「分かった。よくよく言い聞かせておく」
龍貴の言葉に、泉夏は声を立てて笑う。
本当になんでこんなに優しいの。
なんでこんなに良くしてくれるの。
改めてそれを本人に問おうとし。
「泉夏、お待たせ～！」
名前を呼ばれ、泉夏は顔を上げた。
麻衣が大学の友達数人と側に立っており－その中には、大樹の姿もあった。