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桜の季節が巡っても
第5章 別離の春
女の夜道のひとり歩きは危険だろうと、コンビニから駆けてきた優しさが思いっ切り裏目に出た形である。
暫く夜外で寒い中くどくどと注意を受け、反論しようものなら倍以上になって返ってくるので、大人しくただ頷いて時間が過ぎるのを待った。
『お兄ちゃんが迎えに来てくれなかったから、龍貴が送ってくれただけだよ。それでちょっと立ち話してただけ。お兄ちゃんがいないのが一番悪い。龍には寧ろお礼を言うべきよ。ひとりで帰ってたら、もしかしたら何かあったかもしれないじゃん…!』
泉夏が一喝し、最後はどうにか解放された。
なのに二日連続で何かあったら、今度こそただでは済まない。
今日だって涼が急遽休日出勤でいなかったからここに誘えたわけで、家にいられたら難しかったと思う。
「…龍はいつも私を助けてくれるよね。だから今日は泣かない。龍が困る事はもうしないから大丈夫」
弱々しくではあったが、確かに泉夏は笑って言った。
もっと激しく落ち込まれるかな-覚悟していただけに、龍貴は心底ほっとする。
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