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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
また無意味な事をしているな-重々承知の上で、rの次にaから順に足してゆく。
足してはメールを送信し。
宛て先不明で戻って来ては次のローマ字を入力して。
芳しくない分かり切った結末に心がどんどん沈んでいき-アドレスを入力する手がストップした。
何度味わったか知れない絶望感に襲われる。
zまで入力して-それも戻ってきたら?
そうしたら?
唇を噛み締める。
もうやめよう-そう思った時。
泉夏の眉が顰(ひそ)められた。
食い入るようにスマートフォンの画面を確認し-最後に送信したメールが、やっぱり戻ってきていない事実に突き当たる。
送信が完了していた。
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