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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
熱を既に帯び始めているものの、早朝の新鮮な空気を吸い込んでいたら、あんなに最悪だった気分も、なんだか少しずつ晴れ晴れとしてきた気がする。
散々泣いたからやっぱり両目は腫れてしまっていたけれども、今日はばっちりメイクもきめてきた。
目元を誤魔化すように、いつもより少し濃い目のお化粧。
マスカラもわざとたっぷりと。
今日はもう絶対涙を流さないと決心してきた。
泣いたらとんでもない顔を晒してしまう。
だから、泣けない。
だから、泣かない。
昨日はぼろぼろの姿を見せてしまったけれども、今日は違う。
あなたに逢う時は-いつ、どんな時も、最高にお洒落な私で。
最後なら尚更。
たった五分の為でも。
今までで一番可愛かった私を、記憶の片隅でもいいから、どうか暫くの間置いていて。
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