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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
もしもそんなひとがいたとしても。
あなたじゃないならいらない。
あなた以外のひとなんて。
あなたがもういなくなるなんて。
もう私を好きになってもらわなくてもいい。
せめて近くにいて欲しかった。
それすらも叶わない。
やっぱり神様なんかいない。
もしもいるのなら、私からあなたを全て一遍に奪ったりなんかしない。
絶対、しない。
泣かないでいるのはもう、意地だった。
いるのかいないのかも分からない神様を恨む事で、どうにか心の均衡を保っていた。
彼に隠れ、指先で目元を押さえる。
泉夏のその様子に痛みを覚えた秀王だったが-あえて、彼女から視線を逸らす。
自分が彼女にしてあげられる事は-何もなかった。
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