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桜の季節が巡っても
第7章 傷心の秋
「…流川?」
背中から呼ばれ面を上げた。
我に返り、涙の筋を拭う。
彼が歩み寄ろうとしている気配を感じたので、慌ててそれを制する。
「少しだけそのままで待ってて。きっと今…」
-私、酷い顔。
立ち止まる、足音。
鞄からファンデーションを出し、ケースを開く。
鏡で急いで特に目元を確認する。
今日はさほどマスカラはつけてなく、泣く際になるべく擦らないように気を付けていた事もあり-思ったよりも汚れは目立っていなかった。
ハンカチで簡単に拭き取り-ようやく振り返る。
「待たせてごめんね。それと汚い顔でごめん。先に図書館のおトイレ行ってもいいかな」
無理矢理といった感じで、強張った笑顔を作る。
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