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桜の季節が巡っても
第8章 忘却の冬
「おめでと、泉夏ちゃん」
年が明けて今日で、四日目。
思えば秋から久々に会う彼-新年の挨拶を口にしてきた。
そう言えば去年のお正月も、ここでこうして呼び止められたような記憶が甦る。
もっともあの時声をかけてきたのは、彼の母親-百合子だったけれども。
そして二十歳(はたち)を過ぎてもなお『ちゃん』付けで呼ぶのもまた、百合子だけだった。
だから今も一瞬、彼女なのかな?と足を止めたのだが-声質もまるで違ったし、すぐに彼だと気がついた。
『泉夏ちゃん』-なんて。
彼から聞くのはもう十年以上も前で、懐かしく思わなくもない。
「…おめでと」
泉夏も新春の言葉を紡ぐ。
そして、続ける。
「禁煙はどうなってるの、龍貴お兄ちゃん?」
泉夏は嫌味を投げかける。
年が明けて今日で、四日目。
思えば秋から久々に会う彼-新年の挨拶を口にしてきた。
そう言えば去年のお正月も、ここでこうして呼び止められたような記憶が甦る。
もっともあの時声をかけてきたのは、彼の母親-百合子だったけれども。
そして二十歳(はたち)を過ぎてもなお『ちゃん』付けで呼ぶのもまた、百合子だけだった。
だから今も一瞬、彼女なのかな?と足を止めたのだが-声質もまるで違ったし、すぐに彼だと気がついた。
『泉夏ちゃん』-なんて。
彼から聞くのはもう十年以上も前で、懐かしく思わなくもない。
「…おめでと」
泉夏も新春の言葉を紡ぐ。
そして、続ける。
「禁煙はどうなってるの、龍貴お兄ちゃん?」
泉夏は嫌味を投げかける。

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